大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)3946号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、木村は造船業を営むものであるところ、高一海運の注文により昭和四一年一二月一九日同会社との間に本件船舶の建造請負契約を締結したこと、および高一海運はその後昭和四二年一〇月一二日に被告に対して負担する借受金債務二〇〇万円の支払いを担保するために、右請負契約により製造中の右船舶につき抵当権を設定することを約し、これに基づいて本件抵当権設定仮登記をなしたこと。以上の事実は当事者間に争いがない。

二、そこで右抵当権設定仮登記の効力について判断する。

(一)、原告らは、右抵当権設定仮登記は、造船者たる木村の証明書の添付がないのにこれを看過してなされたもので、手続上重大なかしがあるから無効である旨主張するので、まずこの点について考察する。

なるほど商法八五一条、八四八条によれば、製造中の船舶はこれをもつて抵当権の目的となし得るところ、船舶登記規則三四条によれば、かかる製造中の船舶につき抵当権の登記を申請する場合には、同規則三三条一号ないし九号にかかげた事項を証する造船者の書面を添付する必要があり、このことは右船舶に抵当権設定の仮登記を申請する場合にも同様に解せられる。しかしながら、もともとかかる抵当権の登記申請をなすにつき造船者の右証明書が添付されていなかつたという手続上のかしがあつたとしても、事実上右登記がなされてしまつた場合には、右登記の効力はもつぱらそれが実体的要件に合致しているかどうかによつてきめられるべきであつて右のような手続上のかしの存在のみを根拠としてこれを無効と解すべきではない(最高裁判所昭和三七年九月一五日判決その他参照)。したがつて右説示に照らし本件抵当権設定仮登記が、仮に原告らのいうように造船者たる木村の証明書の添付がないのにこれを看過してなされたという手続上のかしを帯び、かつ右かしが重大なものであつたとしても、それだけの事由でこれを無効と断ずべきではないから、この点に関する原告の前記主張は採用することができない。(日高敏夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!